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インタビュー

interview

第七回

監督

加藤マニさん

プロフィール
加藤マニ (かとうまに)
<略歴>
1985年東京都青梅市に生まれる。
2012年フリーランスとして独立。
インディーズ、メジャーを問わずミュージックビデオ等の音楽映像制作によって口を糊しつつ、年間50本以上のMVを制作する変わり者として少しずつ注目を集めている感じがしている。撮られて楽しい、見て楽しいというのが一番よいと思っていて、同じアーティストからのリピートが多いのも自慢。
2016年にマニフィルムス株式会社として法人化。
SPACE SHOWER TV MUSIC VIDEO AWARD BEST VIDEO 2年連続で受賞など。

プラネアール・オタク

クイズセットがある荻窪スタジオ

クイズセットがある荻窪スタジオ


明大前スタジオとか昔あった笹塚スタジオや初台玉井病院スタジオなどが特にそうなのですが、プラネアールさんのスタジオの特徴ってひとつの建物内に違うシチュエーションが様々に広がっている、というのがありますよね。いい感じに散らかってるというか……そこが他社のハウススタジオとの違いの一つのように感じます。荻窪スタジオで撮影した、Shiggy Jr.の「Beautiful Life」の MVはわかりやすくスタジオの空間すべてを使い切ったものです。ダイニングキッチンで中華料理を食べるシーン、洞窟でエキゾチックな人がカレーを食べるシーン、小さい和室で宝くじに当たるシーン、バーでお酒飲むシーンなど(笑)、あの撮影時に制作の人から「ここまでハウススタジオを隅々まで使い倒すディレクターはあまりいないよ!」って言われたんですけど、考えてみるといろんなシチュエーションを求めることの多いわたしの企画に、御社のスタジオは合致するんじゃないでしょうか。わたしは普通にファンのように御社の情報をいつも追っかけてるんですが(笑)、昔は笹塚スタジオにあったクイズセットがいまは荻窪スタジオに移動されてるんですよね。とか言うともうなんかオタクみたいですけど、そういったセットの動きから創作のヒントをいただけているんです。笹塚スタジオにあったときは地下の牢屋から出されてクイズやらされる内容が撮れましたが、荻窪スタジオだとニュース・シーンからいきなりクイズやらされるとか(笑)、そのセットが移動するたびに突拍子もないけど、まるで用意したかのようなシーンが撮影できてしまう。そういったスタジオの都合ありきで MV が作られていくことは意外にあります。(パラパラとパンフをめくりながら)こういう紙資料を眺めるだけでいろいろ浮かびますからね。上板橋スタジオの葬儀セット使ってみたいなぁ〜とか、小茂根クリニックスタジオの俯瞰で撮れる部屋とか、撮影のアイデアに困ったらプラネアールのパンフレットを眺めればいいかも(笑)。

マニ流映像制作のプロセス

俯瞰撮影ができる小茂根クリニックスタジオ3F

俯瞰撮影ができる
小茂根クリニックスタジオ3F


MV の作り方としてはまず前もって曲と歌詞をいただくんですが、基本、相手がこういうことをやりたいと想い描くイメージを大切に考えていきます。……なんですが、わたしの場合「おまかせでお願いします!」という、まったくゼロの状態で仕事を振られるときが多いんです。そういうときはいくつかアイデアを考えるんですが、歌詞のポイントになるフレーズを大切にしていますね。例えば3人組バンド BRADIO の「幸せのシャナナ」という曲の場合、歌詞に”〜そんなこと考えてる昼下がり、そろそろ仕事に戻りますか〜”という部分があって、そこをポイントにオフィス・シーンが連想され、調布スタジオのオフィス空間全体を使う⻑回し演出でストーリーを描きました。曲の雰囲気も余計なカット割を入れると、お話上の突拍子のなさから、視聴者の熱が冷めてしまう気もしたので、長回しで見せつつも、歌のA メロ B メロ各パートの頭で新しい出来事を見せ興味を持続させるように作りました。この曲はドラマのテーマソング にもなっていて公開後の反響も良くて嬉しかったです。海外の方も多くコメントしていて、日本のアニメで見るようなオフィスのサラリーマン風景がおもしろかったみたいです。個人的に⻑回し演出は好きなんですよね、スタッフと演者がずっと集中してのチーム・プレーで作り上げていく感があって現場で何だか感動できるんですよね(笑)。環七マルチスタジオで撮影した、忘れらんねえよの「踊れ引きこもり」もそうですが、引きこもり部屋からコンビニまでビル全体を使う⻑回しで表現しました。これは別件の話なんですが、けっこう MV ってスケジュールがタイトなことが多く、撮影の1週間後には完パケほしいなんてこともあるんですよ。そうなると間違いなくグリーン・バックを使用した合成物はまず間に合わない、できるだけカット割の編集もなくしたい、となった時、⻑回し演出で曲の長さそのままの撮影で、編集も大雑把に言えば、それらを繋ぐだけになるので編集作業を短時間で終えることができるメリットもあります。

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